Sexual Assault Nurse Examiner:性暴力被害者支援専門看護師です。1970年代に米国で始まり、1990年代には、暴力に関連したリスク集団を対象とする看護専門領域 として国際法看護協会(IAFN: the International Association of Forensic Nurses )を設立、米国看護協会(ANA: the American Nurses Association)からForensic Nursingを看護の専門分野として公認されています。米国では資格認定を開始し、現在では3000名の会員を持ち、SANEの活動は広く認知されています。
性暴力被害者は、救急外来で一般の受診者とともに長く待たなくてはなりま せんでした。対応する医療スタッフはトレーニングを受けていないため、診察、検査やケアの質も保障されていませんでした。さらに、性感染症(STI)予 防、緊急避妊といった重要な対処ができない、対応するスタッフの理解不足による2次的トラウマ被害も問題となっていました。性暴力被害者も緊急処置をうけ た後にフォローアップの支援を求めることが難しく、性感染症(STI)やメンタルヘルスケアにつながらないなど性暴力被害者本人を取り巻くさまざまな問題 に対する急性期介入が必要とされる背景がありました。
日本では、性暴力被害者への支援はまだまだ不十分です。SANEの養成が急務といえるでしょう。
性暴力被害者の多様なニーズに対するケアを総合的に提供するために構造化されたプログラムです。米国では、SANEプログラムが定着した病院では司法面接 のための環境が整っているため、性暴力被害者が警察に行く必要はなく、性感染症や緊急避妊の処方箋、医師による定期的なコンサルテーションなどが確実に提 供されます。
司法科学にもとづく臨床医学、法の執行、被害者のアドボケイトといった、多様な視点に立ったケアニーズに対応するために実 施 されているSANEトレーニングは、全米調査ではクリニカル・トレーニングを含めて平均80時間(講義40時間とクリニカル・トレーニング40時間)と報 告されています。
講義の内容は、医療的ケア、証拠採取、心理的サポート、患者教育に関する内容が中心で
す。SANEの活動は高度な専門看護実践なのです。
このたび、日本でもSANE養成のためのプログラムを立ち上げました。月に1回のペースで6回、40時間の講義と演習を行います。なお、SANEの認定は日本フォレンジック看護学会が行う予定です。
2018.5.1.
「性暴力被害者支援看護職 (SANE)養成プログラム」の一般募集を開始しました。
対象は『性暴力救援センター日赤なごや なごみ』で活動される皆さまとその他、本領域に関心をお持ちの皆さまです。
詳しくは右のファイルをダウンロードしてご確認ください。
2017.5.20.
「性暴力被害者支援看護職 (SANE)養成プログラム」の一般募集を開始しております。
対象は『性暴力救援センター日赤なごや なごみ』で活動される皆さまとその他、本領域に関心をお持ちの皆さまです。
詳しくは右のファイルをダウンロードしてご確認ください。
2015.7.26.
性暴力救援センター大阪SACHICOによる、性暴力被害のアドボケータ養成研修を開催しました。
第1回講座の様子です。公開講座でもあり、大変多くの方々にご参加いただきました。
第2回の様子です。
この日はグループワークを通して、より実践的な学びを得ることができたかと思います。
みなさまのご経験を生かして、活発なセッションがされていました。
過去のプログラムから初年度2014年の様子を残しています。ご参考にしてください。
・10月4日
2014年度名古屋SANE 第1回が終了しました。
午後にはSAFER101も開催し、多くの方々にご参加いただきました。ありがとうございました。
・11月8日 第2回、29日 第3回が終了しました。
性暴力の実態や支援に必要な学びを、医療、法律、心理など様々な視点から深めています。8日は検察官、産婦人科医師の立場から貴重なご講義をいただきました。
11月29日はすでにご活躍の性暴力救援センターからお招きし心理のお立場から、午後には長年、この分野に携わられている弁護士のお立場からお話いただきました。
プログラムの詳細についてはこちらを参照ください。
これまで体験を重ねてこられた先生方から毎回、濃いお話が聞けるのは本当に貴重です。
12月13日には法律や警察の立場から、性暴力被害者が置かれている状況や司法上必要な対応などご教授いただきました。
この日に関しましては画像を提供できず申し訳ありませんがご了承ください。
2015年 1月10日
愛知県警の取り組みや、女性支援を実際に行っている立場から社会資源についてなどお話しいただきました。
午後にはまさにフォレンジック(法医学)の観点から、アセスメントについて貴重な写真の数々をもとにご教授いただきました。
半日という短い時間でしたが、深い学びをいただくことができました。
1月31日
2014年度名古屋SANEもとうとう最終日となりました。
この日は午前中に実際の診察や対応などを演習とグループワーク交えて学びました。
参加者一同でいい緊張感のなか、診察台にも乗り被害者の身になって対応を学びました。
午後は性暴力救援センター大阪・SACHICOでご活躍の先生から、実際の活動や事例を教えていただきました。
実際の事例を通して、対応の難しさとともに支援の必要性を改めて学びました。
多くの方々のご支援により、2014年度名古屋SANEプログラムを終了することができました。
ご指導、ご支援いただきました皆様に感謝申し上げます。また、長い期間ご参加くださった皆様にもお礼申しあげます。
今後の活動につなげているけるよう研究所では今後のシステムについて調整中です。
来年度のSANEプログラムにつきましては上記をご参照ください。
今後予定する啓発講座と過去の講座に関してはこちらをご参照ください。
2014年7月27日
白川美也子先生のワークショップ「トラウマからの回復支援のために」が無事、終了いたしました。
多くの方々にご参加いただき、大変感謝申し上げます。
ワークショップを通して、こころに痛みを抱えた方々のケアの大切さや、こころの温かみを取り戻すケアが現場に広まることを
願っております。
2014年10月4日
中島さち先生、西山さつき先生をお迎えして、SAFER101が無事終了いたしました。
7月に引き続き、熱い先生方の語りに熱心に耳を傾けていらっしゃる皆様の姿が印象的でした。
暴力の連鎖を皆で断ち切り、その世界で苦しんでいる方々の立ち直りを支援していきたいと、研究所としても考えています。